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DX人材とは?職種別の必要なスキル・能力や採用・育成のポイントも解説

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するために欠かせないのが、高度なITスキルやビジネススキルを持ったDX人材ですが、DX人材の不足が日本企業の大きな課題となっています。

本記事では、DX人材に求められるスキルやマインドセット、DX人材を採用・育成するためのポイントを解説します。

DX人材とは

DX-人材

DX人材とは、DXの実現のために欠かせない、ITスキルやビジネススキルを持った人材を指す言葉です。DX人材ではなく、デジタル人材と呼ばれることもあります。例えば、AI、ビッグデータ、クラウドなどの知見を持ったエンジニアやデータサイエンティストなどがDX人材の一例です。
また、サービス設計やプロジェクト管理、アジャイル開発やウォーターフォール開発経験を持つプロデューサーもDX人材に当てはまります。

ここからは、経済産業省によるDX人材の定義や、DX人材が必要となった背景を解説します。

経済産業省によるDX人材の定義

経済産業省が作成したデジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)によると、DXの実行のために必要な人材の条件として、以下の2点が挙げられています。[注1]

DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材

デジタル技術やデータ活用に精通した人材を確保するだけではDXを実現できません。各事業部門の業務内容に精通した人材や、DX推進部門を引っ張っていくリーダーシップのある人材など、高度なビジネススキルを持ったDX人材を確保する必要があります。

[注1]経済産業省.「DX推進ガイドライン」. https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12109574/www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf (参照 2022-10-13)

DX人材が必要となった背景

そもそも、なぜDX人材が必要とされるようになったのでしょうか。DX人材の需要が高まった理由のひとつは、経済産業省が平成30年9月にDXレポートを発表し、DXの重要性が広く周知されたことにあります。

DXレポートでは、「2025年の崖」と呼ばれる問題が提起され、企業がこのままDXに取り組まなかった場合、「2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性」があると報告しました。

また、2025年の崖の対応策として「DX人材の育成・確保」が挙げられています。[注2]

既存システムの維持・保守業務から解放し、DX分野に人材シフト
アジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化
スキル標準、講座認定制度による人材育成

DX人材が必要になったもうひとつの理由は、コロナ禍の影響でビジネス環境が急激に変化したためです。2020年には首都圏を中心に緊急事態宣言が発令され、オンラインショッピング、サブスクリプションサービス、フードデリバリーサービスなどのビジネスモデルが急成長しました。また、コロナ禍の外出自粛によって商習慣も大きな影響を受けています。電子契約の導入や、顧客対応のオンライン化など、コロナウイルス感染症をきっかけとして業務プロセスの変革に取り組む企業も少なくありません。しかしDX人材の需要が増す一方で、深刻な人手不足が企業の課題となっています。

[注2]経済産業省.「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf (参照 2022-10-13)

DX推進に向けたDX人材の不足は大きな課題

情報処理推進機構(IPA)は、DXの推進に欠かせない人材(DX推進人材)として、プロデューサー、ビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト/AIエンジニア、UXデザイナー、エンジニア/プログラマの6つの職種を挙げています。しかし、情報処理推進機構のアンケート調査によると、全ての職種においてDX人材が「大いに不足」という回答が非常に多くなっています。[注3]

◆DX推進人材の不足感

 

大いに不足

ある程度不足

それほど不足はない

無回答

プロデューサー

51.1%

20.7%

13.0%

15.2%

ビジネスデザイナー

51.1%

17.4%

15.2%

16.3%

アーキテクト

50.0%

25.0%

10.9%

14.1%

データサイエンティスト/AIエンジニア

47.8%

21.7%

15.2%

15.2%

UXデザイナー

38.0%

25.0%

20.7%

16.3%

エンジニア/プログラマ

35.9%

29.3%

19.6%

15.2%

[注3]情報処理推進機構.「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」.https://www.ipa.go.jp/files/000073017.pdf(参照 2022-10-13)

DX人材の7つの職種と求められるスキル・知識

DX人材には、具体的にどのようなスキルや知識が求められるのでしょうか。ここでは、情報処理推進機構の「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」に基づいて、DX人材の特徴や要件を具体的に解説します。

▼情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」
 https://www.ipa.go.jp/files/000082053.pdf

1.プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーは、「DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材」です。

求められるスキル・知識

プロダクトマネージャーの要件は3つあります。

管理職クラス、事業のエース、それに準ずる人材
変革課題を持っている人、課題設定力がある人材
ビジョンを提唱し、行動に移す、想いのある人材

2.ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、「DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材」です。

求められるスキル・知識

ビジネスデザイナーに求められる要件は2つあります。

ビジネスと技術の両方に明るい人材が望ましいが、とくにビジネスをよく理解している人材
自発的に行動し、チャレンジできる人材

3.テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)

テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)は、「DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材」です。

求められるスキル・知識

テックリードには、DXの基盤となるITシステムを設計し、実装する高度なITスキルが求められます。IT企業においては、プロジェクトマネージャー、エンジニア/プログラマの次に重要度が高く、多くの企業がテックリードの重要性を認識しています。テックリードを確保する場合は、外部から経験者を中途で採用するか、経験を積んだ社内エンジニアを昇格させるケースがほとんどです。

4.データサイエンティスト

データサイエンティストは、「事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材」です。ユーザー企業においては、プロジェクトマネージャーの次に重要度が高く、多くの企業で求められている職種です。

求められるスキル・知識

データサイエンティストに求められるのは、AIやIoT、ビッグデータなどの先端技術の知識や、データ解析のスキルです。テックリードと違い、新入社員をデータサイエンティストとして採用するケースや、研修を終えた社員をOJTで育成するケースもあります。

5.UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーは、「DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材」です。

求められるスキル・知識

UI/UXデザイナーには、DXに関するITスキルだけでなく、サービス設計やデジタルビジネスなどのビジネススキルが求められます。顧客向けアプリを開発している企業をのぞいて、UI/UXデザイナーは外部人材を利用することが一般的です。

6.エンジニア/プログラマ

エンジニア/プログラマは、「システムの実装やインフラ構築・保守等を担う人材」です。システム開発の場合、通常はSIerがエンジニア/プログラマを担当します。

求められるスキル・知識

エンジニア/プログラマには、要件定義、設計、コーディング、テストなど、システム開発やインフラ構築に必要なスキルが求められます。

7.先端技術エンジニア

先端技術エンジニアは、「機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材」です。

求められるスキル・知識

先端技術エンジニアには、AIや機械学習、ブロックチェーンなどの先端技術の知見だけでなく、テクノロジーの変化に対応する柔軟性や学習意欲が求められます。社員が技術を保有している場合をのぞいて、外部パートナーで補完することが一般的です。

DX人材に必要なマインドセット・特徴

DXの中核を担う人材には、具体的にどのようなマインドセットが求められるのでしょうか。経済産業省のDX推進ガイドラインでは、DX人材に必要なマインドセットの仕組みを「各事業部門において新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセット」と定義し、3つの具体例を挙げています。[注4]

仮説検証の繰り返しプロセスが確立できている
仮説検証の繰り返しプロセスをスピーディーに実行できる
実行して目的を満たすかどうか評価する仕組みとなっている

DX人材には、課題発見力や当事者意識、知的好奇心、周囲を巻き込む力など、さまざまなマインドセットが必要です。ここでは、DX人材に向いている人の特徴を4つ紹介します。

[注4]経済産業省.「DX推進ガイドライン」. https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12109574/www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf (参照 2022-10-13)

1.課題発見・設定ができる

DXは最先端のデータやデジタル技術を取り入れ、新しいビジネスモデルを生み出す取り組みです。DX人材には、自分自身の力で課題を発見し、挑戦する課題設定力が求められます。

2.主体性・当事者意識を持っている

DX人材には、主体性や当事者意識も必要です。DXを実現するには、さまざまな課題を乗り越える必要があります。一時的な失敗を糧にしながら、粘り強く課題に取り組む積極性が必要です。

3.知的探求心・好奇心が強い

DXを実現するには、AIやIoT、ビッグデータ、ロボティクスなど、さまざまな先端テクノロジーを活用する必要があります。先端テクノロジーは日々進歩しているため、常に知的好奇心を持ち、学習意欲が高い人材が適しています。

4.周囲を巻き込むことができる

DX人材には、自社の社員だけでなく、周囲の人間を巻き込むことができるマインドセットが必要です。多様な人材と積極的にコミュニケーションをとることで、自身のスキルやマインドセットの成長にもつながります。特にDXの中核を担うDX推進部門の人材は、自ら率先して行動し、周囲の人間を動かすリーダーシップが求められます。

DX人材採用のポイント

DX人材を採用する際には、まず必要な人材のイメージを明確化することが大切です。また、特定のスキルやマインドセットに偏るのではなく、多様性を重視した人選やチーム構成を意識しましょう。DX人材を採用するポイントを2つ紹介します。

1.必要な人材のイメージを明確化する

まずはターゲットとなる人材のイメージを明確化しましょう。DX人材といっても、プロデューサーやビジネスデザイナー、アーキテクト、データサイエンティスト/AIエンジニア、UXデザイナー、エンジニア/プログラマなど、さまざまな職種が存在します。自社のDX推進チームに足りない人材を分析し、採用ターゲットを決定しましょう。

2.多様性を重視した人選・チーム構成を意識する

情報処理推進機構は、DX人材として適性がある方の条件として「社外や異種の巻き込み力」を挙げています。[注5]

社外や異種の巻き込み力

対立する周囲のメンバーを巻き込むだけでなく、
外部の「他者」との交わりを多く持ち、自分の成長や変化の糧にできる受容力

特定のスキルやマインドセットに偏った人材を採用するのではなく、多様性を重視した人選やチーム構成を意識することで、組織の活性化につながります。

[注5]情報処理推進機構.「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」.
 https://www.ipa.go.jp/files/000082053.pdf (参照 2022-10-13)

DX人材育成のポイント

DX人材を育成する際のポイントは4つあります。

1.小さな成功体験を積ませる

DX人材を育成する際は、いきなり困難な課題を与えるのではなく、小さな成功体験を積ませることを意識しましょう。座学研修、OJT、社内外との交流など、段階的に成功体験を積み重ねることで、DX人材に必要なスキルやマインドセットをじっくりと身につけることが可能です。

2.アジャイル開発を意識する

アジャイル開発とは、設計、開発、テストの開発工程を小さな単位で素早く繰り返し、システム開発のリスクを軽減する手法です。DXを推進する際もアジャイル開発を採用することで、失敗したときのリスクを減らせます。また、チームメンバーが小さな成功体験を積み重ねることができます。

3.新しいことに挑戦しやすい風土や人事評価システムづくり

DXを成功させるには、「取り組むべき領域を自ら定め、新分野への取り組みを厭わず、ありたい未来を描き、挑戦する姿勢」が求められます。DX人材を育成する際には、メンバーが一時的な失敗を恐れず、新しいことに挑戦しやすい風土やそういった姿勢を評価する人事評価システムづくりに取り組みましょう。

4.外部パートナーの存在も意識した育成プログラムにする

テックリード、UI/UXデザイナー、先端技術エンジニアなど、DX人材の職種によっては社内で確保するのが困難です。将来的に外部パートナーを利用することも想定し、DX人材の育成プランを作成しましょう。

【まとめ】

DX人材はDXを推進するために欠かせない存在

DX人材とは、DXの推進に欠かせないITスキルやビジネススキルを持った人材を指します。DX人材の需要が増す一方で、企業は深刻な人材不足に直面しています。DX人材に必要なスキルやマインドセットを知り、社内での人材確保が難しい場合は、外部人材の利用も検討しましょう。

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