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DX認定制度とは?認定の基準や申請の流れについて解説

DX認定制度とは

DX認定制度は2020年に開始した、情報処理推進機構(IPA)によって審査・認定される認定制度です。
なお、DXは経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」において、以下のように定義されています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”
※引用:デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省 p.1
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

また同じく経済産業省では、DX認定制度に以下のように記載しています。

“DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)が、本制度に関わる「DX認定制度事務局」として、各種相談・問合せ対応及び認定審査事務を行っています。”
※引用:DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html (2022-11-24)

“国が策定した指針を踏まえ「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」になっている事業者を認定(他の事業者との比較は行わない)”
※引用:DX認定制度概要~認定基準改訂及び申請のポイント~|経済産業省 p.8
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dxnintei-point.pdf

DX認定制度での認定を受けることによって、DX(デジタルトランスフォーメーション)を適切に推進する準備ができている企業として社会的にアピールできる・企業価値が高まると考えられています。また、DX認定制度を取得すると、税制面や融資など、さまざまな各種支援措置が受けられる点もメリットです。

近年は、さらなる企業のDX化を目指し、経済産業省を中心として、国を挙げた積極的なDX認定制度取得の推進が行われています。

DX認定取得のメリット

実際にDX認定を受けた事業者に向けたアンケートでは、「DX認定を取得してメリットであると感じたこと」という項目で、84.1%の企業が「DX戦略の推進」を挙げています。そのほか「顧客に対する企業イメージ向上」を挙げた企業は72.7%、「人材確保に向けた企業イメージ向上」を挙げた企業は56.4%でした。(※)

ここでは、具体的なメリットとして3つを取り上げ、それぞれについて解説します。

※出典:DX認定制度概要~認定基準改訂及び申請のポイント~|経済産業省 p.8
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dxnintei-point.pdf

1. 社会的認知や企業価値の向上

DX認定取得により、IPAホームページ上の「DX認定制度 認定事業者の一覧」に認定事業者として掲載されます。認定事業者として多くの人に認識されることで、社会的認知や企業価値の向上も期待できるようになるでしょう。

中小企業であっても大企業と同じ立場で社名が掲載されることから、中小企業にとっては自社の存在価値をアピールできる手段として有効です。DX認定取得により、DX認定ロゴマークを自社ホームページや名刺などに使用することができます。

2. 各種支援措置が受けられる

DXを取得した企業は、税制面や融資などで以下の2つの支援が受けられます。

DX投資促進税制による税額控除

DXを取得すると、DX投資促進税制による税額控除の支援が受けられます。DX投資促進税制とは、全社でDXに取り組む企業に対し、税制面で優遇しようというもので、本制度に沿ったデジタル関連の投資を行うことにより、5%もしくは3%の税額控除、または30%の特別償却ができるようになるというものです。

DX投資促進税制を受けるための条件の一つとして、DX認定の取得が必須とされています。

中小企業における融資での優遇

中小企業においても、DX認定を取得している企業の場合、日本政策金融公庫からの低金利融資を受けることが可能です。中小企業信用保険法の特例適用もあり、民間の金融機関から融資を受ける際、信用保証協会の信用保証での優遇措置を受けることもできます。

3. DX銘柄に選ばれる可能性がある

東京証券取引所の上場企業の中から選出されるDX銘柄は、「DX推進の仕組みを社内に構築し、特に活用実績が優れている企業につき、業種別に1~2社選定されるもの」で、DX認定の取得が条件となっています。
DX銘柄に選出されることにより、投資家などからの企業評価を高めることにもつながっていきます。

DX認定の基準

DX認定制度の認定レベルは、上位から順にDX-Excellentレベル、DX-Emergingレベル、DX-Readyレベル、DX-Ready以前の4つに分類されます。DX認定制度の認定を受けるための基準としては、まず、DXを推進するための準備が整っている事業者(DX-Readyレベルの事業者)であることが求められます。

DX認定の基準とデジタルガバナンス・コード

DX認定を受けるための基準には、6つの申請項目が用意されています。これは、デジタル化に向けた企業経営を行うにあたり、経営者に求められる具体的な行動や評価指針の「デジタルガバナンス・コード」と対応した内容となっています。

デジタルガバナンス・コードとは、DXを推進するための指標を経済産業省が公開したものであり、DXの認定申請書を記載する際には、下記デジタルガバナンス・コードの各項目に対応する内容を記載することになります。DX認定の要件を満たすためには、デジタルガバナンス・コードの項目に沿った施策や検討が必要となることを覚えておきましょう。

以下に、DX認定制度の申請書の項目とデジタルガバナンス・コードとの関係を示します。

DX認定制度の申請書の項目

デジタルガバナンス・コードの項目

1)企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定

1. 経営ビジョン・ビジネスモデル

2)企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定

2. 戦略

2-1)戦略を効果的に進めるための体制の提示

2.1 組織づくり・人材・企業文化に関する方策

2-2)最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示

2.2 ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策

3)戦略の達成状況に係る指標の決定

3. 成果と重要な成果指標

4)実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信

4. ガバナンスシステム

5)実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握

6)サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施


[参考]
DX認定制度概要~認定基準改訂及び申請のポイント~|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dxnintei-point.pdf (2022-11-24)
デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf (2022-11-24)

DX認定制度の対象

DX認定制度の対象は、すべての事業者が制度の対象者となっており、法人のほか、公益法人・個人事業主も申請が可能です。申請や認定を受けた際、認定を維持する場合の費用はかかりません。

DX認定申請から認定取得までの期間

DX認定制度の申請は、1年のうち、時期を選ばずいつでも行えるようになっています。申請から認定取得までの期間は、約3〜4カ月と考えておけばよいでしょう。(※)

なお、期間は申請内容や混雑の度合い、審査の締め日などの関係で、想定よりも時間がかかる場合もあります。また、申請内容に不備があった場合は連絡がきますが、その都度再申請することになるため、審査の合格までさらに時間がかかります。申請から認定取得までは4カ月以上を見込み、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

申請から認定取得までの期間に関する詳細については、以下を参考にしてください。(※)

※出典:申請から認定取得までの期間について|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 p.2〜4
https://www.ipa.go.jp/files/000093602.pdf (2022-11-24)

DX認定申請の方法

ここからは、DX認定申請の方法について説明します。具体的には、以下の手順で行っていきます。

1. 新規申請に向けた準備を行う

まずはDX認定取得のために必要なプロセスをイメージするところから始めましょう。そのためには、まず、DX認定の基準として必要なデジタルガバナンス・コードの項目を満たしているか、確認するところから行います。

デジタルガバナンス・コードの項目を満たしているかを確認するためには、初めに、経営ビジョンの策定と実現のためのビジネスモデルの検討を実施し、実際にデジタル技術を活用するともたらされる効果を確認していくとよいでしょう。また、戦略として、デジタル技術の活用方法を検討・策定し、戦略の達成度をはかるための指標や成果もチェックしていきます。最後に、経営者の情報発信力や経営者の課題把握、サイバーセキュリティリスクへの対策がどのように対応がなされているかも確認しておきましょう。

なお、認定申請を行う際には、申請要件や申請チェックシートへ記入する内容もあらかじめ準備しておく必要があります。主な申請確認要件には、次の2点が挙げられます。

DX認定要件の確認

申請前には、DX認定要件に該当しているかどうかを確認しておきましょう。申請の対象事業者や認定要件、申請期間や申請方法については、DX認定制度申請要項に詳細が記載されています。

現状確認

現状確認として、認定申請書へ記入すべき内容や補足資料の確認を行います。申請書への記入する内容には、資料として公表しなければならないものもあるので、あらかじめ準備しておきます。

2. 認定申請書などに記入する

認定申請書および申請チェックシートをIPAのホームページよりダウンロードし、記入を行います。記入の際には、不備の無いように、一つずつ確認をしながら記入をしていくとよいでしょう。

また、申請書の書き方全般や不備の例については、以下のページにまとめられているため、記入の際の参考にしてください。(※)

※出典:DX認定制度FAQ(よくある質問)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxcpfaq.html (2022-11-24)
※出典:DX認定制度概要~認定基準改訂及び申請のポイント~|経済産業省 p.28
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dxnintei-point.pdf (2022-11-24)

3. IPAホームページから申請を行う

記入後、認定申請書と必要書類をDX推進ポータルから提出します。DX推進ポータルから提出する際は、サイトにログインするための「gBizID」が必要です。gBizIDを持っていない場合には、IDの新規発行手続きを行います。

4. 事務局で審査を実施する

申請を行った後は、申請書の内容と補足書類の審査を事務局で実施します。審査中に事務局側で不明点が生じた場合には、メールにて連絡がありますので、都度対応を行っていきます。

5. 結果が通知される

審査と認定手続きが完了後、事業者に対しメールで通知が送られます。認定の場合は、「認定事業者に関する事項」「認定の適用日と期間」「手続番号」が記載されています。

不認定となった場合には、「不認定の理由」と「不認定の決定日」が記載されているので、内容をしっかり確認しましょう。

なお、DX認定申請の詳細は以下に記載されていますので、申請の際には確認してみてください。(※)

※出典:DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/files/000086670.pdf (2022-11-24)

DX認定事業者一覧

先に紹介したとおり、DX認定事業者になることにより多くのメリットが得られるため、多数の企業がDX認定事業者の資格取得を目指しています。DX認定制度により認定された事業者は、認定事業者一覧としてIPAのページで公表されています。(※)

DX推進ポータルには、DX認定された企業名や代表者氏名・所在地などのほか、申請時に作成された認定申請書も公開されています。

※出典:DX認定制度 認定事業者の一覧|DX推進ポータル(IPA)
https://disclosure.dx-portal.ipa.go.jp/p/dxcp/top (2022-11-24)

【まとめ】

DX認定の取得により企業価値の向上を目指そう

DX認定制度は認定されることにより、DX化推進が適切になされている企業として、企業のブランド力を高めることが可能です。またDX認定制度の取得により、税額控除や融資での優遇など各種支援措置を受けることもできます。そのほか、DX認定の取得が条件となるDX銘柄に選ばれることにより、投資家へのアピールも可能となるでしょう。

なおDX認定を受けるためには、DX-Readyレベルの事業者でなければなりません。認定を受けるための申請基準として用意された申請項目は、デジタルガバナンス・コードに対応したものとなっているため、認定の要件を満たすためには、デジタルガバナンス・コードの項目に沿った施策や検討が必要です。

DX認定事業者になるためには、あらかじめ多くの準備が必要ですが、認定されることによりさまざまなメリットが得られます。自社の企業価値向上のためにも、ぜひDX認定の取得を目指してみてはいかがでしょうか。