DXツールとは?代表的なツールや選定のポイントを紹介
DXツールの導入は企業にとって非常に重要な取り組みです。しかし企業の状況や目的によって選ぶべきツールは異なり、なかなか導入に踏み切れないケースもあります。自社に適したツールを導入するか検討するためにも、代表的なDXツールの特徴をしっかり押さえておくことが大切です。
本記事ではDXツールとはそもそもどんなものなのかということやツールの種類、選定に失敗しないためのポイントなどについてご紹介します。
そもそもDXとは?
DXはデジタルトランスフォーメーションの略称で、2004年にスウェーデンの大学教授らによって提唱されました。その意味は「デジタル技術を駆使し、人間の生活をよりよいものにする」というものです。
日本におけるDXはビジネスの世界に限定されていることが多いですが、これは以下に挙げる総務省の定義が大きく影響しています。
“企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること”
※引用:総務省.「令和3年 情報通信白書(デジタル・トランスフォーメーションの定義)」. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html.(2022-11-24)
つまりDXとは、企業が時代の変化に遅れることなく、デジタル技術やデータを利用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革して価値を生み出し、競争優位性を確立することを意味します。
DXツールとは
DXツールとは、DXを推進するのに必要なツールのことです。DXツールを導入することで以下のようなことが可能になります。
情報の一元管理
業務効率化
データの活用
特に重要なのは情報の一元管理で、これが実現すれば業務効率化やデータ活用もスムーズに進みます。
また、DXとIT化を同じ意味に捉えている方も少なくありませんが、両者は別物です。IT化はIT技術の導入やデジタル化により、生産性を向上させることを意味します。一方でDXは、デジタル化やIT化を通して組織や社会の在り方を変革することを意味しており、より高度な対応が必要となります。
企業のDXツール導入が必要になった背景
企業のDXツール導入が必要になったのには、以下のような理由があります。
ビジネスの多様化
消費者や社会の変化への対応が必要なため
レガシーシステムによる経済的圧迫を防ぐため
特に問題となっているのが「2025年の崖」です。日本では少子高齢化が急激に進み、労働者の数が年々減少しています。このままでは生産性を維持することが難しくなり、効率よく業務を進めることは困難です。このような状態が続いた場合、2025年を境に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると経済産業省が発表し、企業のDXツール導入推進の流れが加速し始めました。
代表的なDX一覧
ここからは代表的なDXツールを紹介します。どのようなことが可能になるのか理解して導入の際の参考にしましょう。
ワークフローシステム
ワークフローシステムとは、業務における一連の流れを電子化するシステムです。例えば経費の申請や出張報告のように、あらかじめフローが決まっているものを、ネットワークを介して申請から承認まで一括で処理できます。
主に総務や人事、経理などの部署が主導して導入するもので、以下のようなツールがあります。(※)
MAJORFLOW Z FORM
SmartDB
ジョブカンワークフロー
X-pointCloud
※参照:パナソニック ネットソリューションズ株式会社.「MAJOR FLOW Z FORM」.https://www.majorflowz.com/major-flow-z/major-flow-z-form/.(2022-11-29)※参照:株式会社ドリーム・アーツ.「SmartDB」.https://hibiki.dreamarts.co.jp/smartdb/.(2022-11-29)
※参照:株式会社Donuts.「ジョブカンワークフロー」.https://wf.jobcan.ne.jp/.(2022-11-29)
※参照:株式会社 エイトレッド.「X-pointCloud」.https://www.atled.jp/xpoint_cloud/.(2022-11-29)
オンライン会議システム
今の時代、欠かすことのできないツールと言えばオンライン会議システムです。従業員同士が離れた場所にいても会議が行えるため、人との接触を減らしたり、移動時間を短縮するなどの効果が期待できます。主に以下のようなオンライン会議システムがあります。
Zoom
Skype
MicrosoftTeams
GoogleMeet
※参照:Zoomビデオコミュニケーションズ.「Zoom」.https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/.(2022-11-29)
※参照:マイクロソフト.「Skype」.https://www.skype.com/ja/.(2022-11-29)
※参照:マイクロソフト.「MicrosoftTeams」.https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software.(2022-11-29)
※参照:Google.「GoogleMeet」.https://apps.google.com/intl/ja/meet/.(2022-11-29)
電子決裁システム
電子決済システムを導入すると、書類のサインや捺印、承認が簡単にできて便利です。紙ベースで対応していた契約書や決済書などをデジタル化すると、回覧や確認の手間が省けて時間のロスを減らせます。代表的なツールは以下の通りです。
クラウドサイン
ShachihataCloud
※参照:弁護士ドットコム株式会社.「クラウドサイン」.https://www.cloudsign.jp/.(2022-11-29)
※参照:シヤチハタ株式会社.「ShachihataCloud」.https://dstmp.shachihata.co.jp/products/cloud/.(2022-11-29)
チャットツール
多くの企業が導入しているのがチャットツールです。従来のメールでのやりとりは時間がかかったり、返信にラグができたりしていました。
メールの代わりにビジネスチャットを用いることで、長文になりがちな文章を短縮できたり、相手とのコミュニケーションも円滑になったりする効果が期待されます。
代表的なチャットツールは以下の通りです。
Slack
ChatWork
GoogleChat
※参照:Slack.「Slack」.https://slack.com/intl/ja-jp.(2022-11-29)
※参照:Chatwork株式会社.「ChatWork」.https://go.chatwork.com/ja/.(2022-11-29)
※参照:Google.「GoogleChat」.https://workspace.google.co.jp/intl/ja/products/chat/.(2022-11-29)
ドキュメント管理ツール
自社のサーバにデータを保存している企業でよく問題になるのが容量です。この問題を解決してくれるのがドキュメント管理ツールです。ストレージサービスなどとも呼ばれ、大容量のデータを管理でき、ダウンロードやシェアなどもスムーズに行えます。主なドキュメント管理ツールは以下の通りです。
GoogleDrive
MicrosoftOneDrive
Dropbox
※参照:Google.「GoogleDrive」.https://www.google.com/intl/ja_jp/drive/.(2022-11-29)
※参照:マイクロソフト.「MicrosoftOneDrive」.https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/online-cloud-storage.(2022-11-29)
※参照:Dropbox.「Dropbox」.https://www.dropbox.com/ja/.(2022-11-29)
プロジェクト管理ツール
業務においてプロジェクトを組む際に便利なのがプロジェクト管理ツールです。プロジェクトの進捗を可視化できます。遅延しているタスクについてもリマインドされてダッシュボードに一覧で表示されるので進捗を逐一確認可能です。プロジェクト管理ツールには以下のようなものがあります。
Backlog
Trello
Redmine
※参照:株式会社ヌーラボ.「Backlog」.https://backlog.com/ja/.(2022-11-29)
※参照:Trello.「Trello」.https://trello.com/home.(2022-11-29)
※参照:ファーエンドテクノロジー株式会社.「Redmine」.https://redmine.jp/.(2022-11-29)
営業管理システム
営業管理システムでは顧客情報や商談内容などを記録・管理し、過去の進捗を把握できます。営業活動をデジタル化し、効率化を図ることができるツールです。営業管理システムツールの例としては、以下が挙げられます。
SalesCloud
kintone
Senses
※参照:株式会社セールスフォース・ジャパン.「SalesCloud」.https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/.(2022-11-29)
※参照:サイボウズ株式会社.「kintone」.https://kintone.cybozu.co.jp/.(2022-11-29)
※参照:株式会社マツリカ.「Senses」.https://product-senses.mazrica.com/.(2022-11-29)
RPA
RPAとはRoboticProcessAutomationの略称で、ロボットにこれまで人が処理していた定型業務を代行させて自動化するツールです。RPAには以下のようなものがあります。
WinActor
UiPath
BizRobo!
※参照:NTTアドバンステクノロジ株式会社.「WinActors」.https://winactor.biz/.(2022-11-29)
※参照:UiPath株式会社.「UiPath」.https://www.uipath.com/ja.(2022-11-29)
※参照:RPA テクノロジーズ株式会社.「BizRobo!」.https://rpa-technologies.com/products/first/.(2022-11-29)
BI
BIとはBusinessIntelligenceの略称です。BIを導入すると、企業が保有するデータを集計し、ほぼリアルタイムに閲覧することが可能です。これにより早いタイミングでデータを活かした分析が行え、意思決定をスムーズにします。代表的なBIツールは以下の通りです。
Looker Studio
Tableau
Domo
※参照:Google.「Looker Studio」.https://support.google.com/looker-studio/answer/6283323.(2022-11-29)
※参照:Tableau Japan株式会社.「Tableau」.https://www.tableau.com/ja-jp.(2022-11-29)
※参照:ドーモ株式会社.「Domo」.https://www.domo.com/jp.(2022-11-29)
MA
MAはMarketingAutomationの略称で、マーケティングを自動化するDXツールです。メールをはじめ、SMS、LINEなどのチャネルを使い分け、顧客のニーズにマッチする適切なコンテンツを発信することができます。主なMAツールは以下の通りです。
SalesforceMarketingCloud
AdobeMarketoEngage
OracleEloqua
※参照:株式会社セールスフォース・ジャパン.「SalesforceMarketingCloud」.https://www.salesforce.com/jp/products/marketing-cloud/overview/.(2022-11-29)
※参照:アドビ株式会社.「AdobeMarketoEngage」.https://jp.marketo.com/.(2022-11-29)
※参照:日本オラクル株式会社.「OracleEloqua」.https://www.oracle.com/jp/cx/marketing/automation/.(2022-11-29)
経費精算システム
経費精算システムを導入すると、精算時の入力ミスや計算ミスなどを防ぎスムーズな処理が可能です。またキャッシュレス化によって現金を管理する手間も減り、大幅な業務効率アップが期待できます。経費精算システムの代表ツールは以下の通りです。
ジョブカン経費精算
MoneyForward
クラウド経費精算freee
※参照:freee株式会社株式会社 DONUTS.「ジョブカン経費精算」.https://www.freee.co.jp/accounting/small-business/fr-n276amh5/.(2022-11-29)
※参照:株式会社マネーフォワード.「MoneyForward」.https://moneyforward.com/.(2022-11-29)
※参照:株式会社セールスフォース・ジャパン.「クラウド経費精算freee」.https://www.salesforce.com/jp/products/marketing-cloud/overview/.(2022-11-29)
DXツールを選定する際のポイント
さまざまなDXツールの中から自社に適したものを選ぶ際のポイントを紹介します。
経営戦略やDXの目的にあった機能が付いているか
DXツールの導入では、自社の経営戦略に合うものを選ぶことが大切です。そのためにはツールの持つ機能を十分に確認し、これから目指す経営にとってどのような効果をもたらすかを具体的に考える必要があります。
社内の他のツールやシステムとの連携はしやすいか
新しくDXツールを導入する際に見落とせないのが、社内の他のツールやシステムとの連携です。ツールにも相性があるので、スムーズに連携できるかを確認してください。
また導入が進むと、より利便性を高める必要が出てくるかもしれません。ニーズに柔軟に対応できないツールの場合、新たに別のツールを導入しなくてはならないため、ある程度長いスパンでも使用できるツールを導入しましょう。
社内に導入しやすいかどうか
せっかくツールを導入しても使いこなせなければ意味がありません。DXを成功させるためには、ツールを使う方の使いやすさにも配慮する必要があります。直感的に操作しやすいか、という点も大切です。
サポート体制
DXツールを導入してすぐにスムーズに業務が進む企業はほとんどありません。ツールは自社の状況や目標に合わせてカスタマイズする必要があり、各ツールのプロのサポートが不可欠です。ツールを導入する際は、電話での問い合わせに対応しているか、レスポンスが早いかなどを確認しましょう。
金額
DXツールの導入には費用がかかります。投資費用はDXを実現することで回収できることが多いですが、そもそも投資した費用と得られる利益のバランスが取れているかを確認しましょう。DXツールを導入しても思うような効果が得られなければ、投資費用分、まるっと損してしまうこともありえます。
DXツール導入の注意すべき3つのこと
DXツールを導入する際の注意点を3つ紹介します。
1. 利用ルールを明確化する
ツールによっては自社に合わせてカスタマイズも可能です。しかし、ツールを使いこなせる社員が自分のやり方に合わせて勝手にカスタマイズしてしまうと、思わぬ影響が出ることがあります。
このような事態を避けるためには、ツールを使用するすべての方に考慮し、同意の上でカスタマイズするように共有を徹底しましょう。その他にもDXツールの利用には社内でルールを設け、適切に使用できるような環境に整えることも重要です。
2. ツールに合わせた業務フローの見直し
DXツールを導入することでこれまでの業務にも変化が生じます。DXツールに使い慣れるまでは一時的に業務が滞ることもありますが、焦る必要はありません。
DXツール導入時には、どうしても人がやらなくてはいけない業務なのか、ツールで対応するべき業務なのかを見極め、できる限りツールに任せる業務フローへと切り替えましょう。またこのタイミングで、業務の無駄がないかなどをしっかりと見直すと一気に効率がアップします。
3. ツールの利用が苦手な社員のフォローアップを行う
社員の中にはすぐにDXツールに対応できない人も一定数出てきますが、どの企業でも起こり得ることです。重要なのは、その社員に対するフォローアップです。社内でマニュアルを完備するなど、しっかりと使えるように指導しましょう。すべての社員が使えてこそ、本当のDXが実現されます。
また、DXツールの中には定期的にシステムを更新するものがあり、必要応じて社内でカスタマイズをすることもあります。その都度、社員全員で変更点を確認し、業務の効率化を進めていきましょう。
【まとめ】
自社の状況に適したDXツールを選びましょう
企業として存続するためにDXツールは必要不可欠なものです。ただしツールには、さまざまな種類があり、企業の状況や今後の展望によって選ぶべきるツールは異なります。また、DXツールに投資しても、最終的にコストが回収できなければ意味がありません。導入後の計画やゴールも明確にする必要があります。
自社でDXツール導入の検討・判断が難しい場合は、ぜひDIGITAL SHIFT(デジタルシフト)ご相談ください。専門的な立場からお客様のニーズにマッチするツールを選定いたします。また、長期にわたって企業のDX推進をサポートしますのでお気軽にお問い合わせください。
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