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日本企業のDX推進における課題とは?解決のポイントとあわせて解説

経営層のコミットメント不足やレガシーシステムの存在などが、日本企業のDX推進の課題として上げられます。課題解決のためには経営層はもちろん従業員もDXの必要性を理解し、目的を達成できるシステムの導入が必要です。

本記事では、日本企業のDX推進の課題と解決のポイントを解説します。

DX推進が必要となった背景

DXとはデジタルトランスフォーメーショの略称で、AIなどのデジタル技術を活用し、社会や企業をより良いものに変革するという概念です。

日本企業にDXの推進が必要な理由は、単純に競争力を強化するためだけではありません。古いシステムを使い続けることで懸念される、大規模な経済損失を回避するためでもあります。

2025年の崖

経済産業省は、日本企業がDXを進める上での現状と課題を有識者会議にて取りまとめた内容を「DXレポート」にまとめました。(※)

同レポートでは、企業でDX推進が実現できない場合、2025年以降年間約12兆円の経済損失が生じると警鐘をならし、「2025年の崖」と命名しています。

2025年の崖では、企業のDX化が進まずレガシーシステム(老朽化・肥大化・複雑化によりブラックボックス化したシステムのこと)を使い続ければ、以下の事態を招くと解説しているのです。

ビックデータを活用できずデジタル競争に敗北する
レガシーシステムの維持管理コストが増加し予算を圧迫する
保守運用が難しくデータ滅失など多くのトラブルに直面する
レガシーシステムを扱えるIT人材の不足
レガシーシステムを支える各種サポートの終了

特に、日本企業では2025年には、運用から21年を超える基幹系システムを抱える企業が6割に上ると予想されるため、DXの推進が急がれています。

※出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html (2022-11-22)

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルスの影響により、企業でDXの推進を必要とした理由は大きく分けて以下の2つが考えられます。

テレワークの増加
消費行動の変化

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、非接触・非対面で業務を進める必要があり、政府も新しい働き方としてテレワークの推進を企業に求めました。

結果として、企業の多くでテレワークの導入が必要となり、合わせて、既存のシステム自体もテレワークに対応するものに変えなければなりませんでした。

また、消費行動の変化も企業でDXが必要となった要因の1つです。接触を避けるため通販利用者が増加しただけでなく、実物を見て購入しない分、今まで以上に徹底的に検索してから購買を決定する消費者も増加しました。

以上の変化から、企業も新しいタイプの消費行動に合わせて販売方法をデジタルに変える必要があったためです。また、売上が低迷した企業ではITを活用した業務の効率化による、経費の削減に迫られたケースもあるでしょう。

デジタル技術の進化によるビジネスの多様化

デジタル技術の進化はビジネスのあらゆる面に大きな変化をもたらしました。例えば、スマートフォンの普及1つ取っても、コミュニケーション・消費・情報収集のように生活に必要な手段を1台で完結できます。

ビジネスでは、スマートフォンの利用で得られるビックデータの活用により、今まで以上に顧客層に適したマーケティング手法の選択が可能となりました。これらの変化は一部に過ぎず、電子商取引(EC)や3Dプリンター、IoTなど、デジタル技術を活用したビジネスの台頭も、DX化の後押ししています。

日本企業のDX推進状況

日本企業でもDXを進捗する動きはあるものの、成果は限定的と考えられています。しかし、中にはデジタル技術を活用した新規事業の創出と、既存事業の業務効率化のように、事業の両面からDX化に成功する企業も出現しているのです。

そこで、三菱総合研究所は両者の違いを分析するため、売上高100億円以上の国内企業を対象に「DX推進状況調査」を実施し、結果をまとめました。ここでは、上記調査結果の内容を元に、日本企業がDXを推進する上で重要な2つの要素を解説します。(※)

※出典:三菱総合研究所、日本企業のDX推進状況調査結果を公表|株式会社三菱総合研究所
https://www.mri.co.jp/news/press/20220525.html (2022-11-22)

DXに成功した企業ではDXビジョンの策定とアップデートの重要性を理解している

社会のDXが特に進んだコロナ渦において、DXビジョンを策定し実行した企業と、そうでない企業では、下記のように業績向上率に大きな違いが見られました。

DXビジョンを策定し実行した企業:40%
DXビジョンの立案予定はない企業:9%

また、DXビジョンを立案した企業のうち、実行度が高い企業ほどビジョン策定の必要性を感じていることも明らかとなりました。

上記の結果から、日本企業がDX推進に成功するためには、DXビジョンを立案した上で実行し、適正にアップデートしていくことが重要と考えられます。

事実、経済産業省が発表した『「DX 推進指標」とそのガイダンス』でも、日本企業のDXがビジネス変革に至らない原因の1つとして、「顧客視点でどのような価値を創出するか、ビジョンが明確でない」点を上げています。

DXビジョンがないままDXを推進した場合、トップの号令は「AIを活用しろ」のようなHow(どのように)の指示のみです。これでは、価値の創造ではなく業務改善に留まってしまうでしょう。

しかし、顧客の目線に立ってどのような価値が生み出せるか、What(何を)が語られることで、新規事業の創造を含むDXが可能となります。

DXの課題や取り組むべき優先事項は業種により異なる

DXで解決したい課題は、業種により異なることも明らかとなりました。例えば、製造業であれば業務改善やデータ取得化が優先事項として上げられています。

また、企業が求めるDX人材も、DXの推進状況により変化します。DXの初期であればデータサイエンティストのみで問題が解決できた企業も、デジタル化が進むにつれ、社内の課題とデータを紐づけるビジネスサービス人材が必要となりました。

以上のように、一口に企業でDXを推進するといっても、業種・業界・事業規模・DXの進展状況により、必要な取組はまったく異なります。そのため、まずは自社の状況を客観的に分析し、優先事項を整理した上でDXの取り組みを進める必要があります。

IT投資に関する日米比較

日本でDXが進まない原因は、消極的なIT投資が多くを占めている点からも見て取れます。例えば、2013年に日米双方の企業がどのようなIT投資を行なっていたか、上位3項目は以下のとおりです。

【日本企業】
業務効率化/コスト削減:50ポイント
ITによる製品/サービスの開発:約22ポイント
売上が増えているから:約12ポイント

【米国企業】
ITによる製品/サービスの開発:40ポイント
新たな技術/製品/サービス利用:約28ポイント
事業内容/製品ライン拡大:約27ポイント

以上のように、米国企業ではITによる新たなサービスの開発や事業の拡大など、“攻め”のIT投資が上位を占めるのに対し、日本企業では、業務効率化のように“守り”を固めるためのIT投資が半数を占めています。

なお、2017年では、「業務効率化/コスト削減」が約35ポイント、「新たな技術/製品/サービス利用」が約28ポイント、「ITによる製品/サービスの開発」が約23ポイントと、攻めの投資も増えています。それでも、米国と比べると、依然として守りのIT投資比重が高いのも事実です。

日本企業のDX推進における課題

日本企業のDX推進の課題は、ビジネスモデルがデジタル化に対応していないだけではありません。経営層がDXの必要性を理解できておらず、結果として従業員にDXの理解を促せていないこともあります。合わせて、DX人材の不足と評価制度の未整備など、全社的課題が累積していることも多いでしょう。

ビジネスモデルがデジタル化に対応できていない

リモートワークの導入でも問題になったように、ハンコ文化や紙書類でのやり取りなど、DXを進めようにも、業務スタイルが従来のまま変更されていない企業も多いでしょう。

また、既存ビジネスの効率化を進めるだけで、ビジネスモデル自体の変革が進んでいないケースもあります。

経営層のDXに関する重要性の理解不足

DXの推進は、国際競争力の強化だけでなく、2025年の崖のような危機を回避する上でも重要な課題です。

しかし、経営層がDXの必要性を理解していなければ、企業が向かうべきビジョンも不明確です。そのため、各部門でDXに取り組んでも思うような効果は上げられません。

従業員のDX化への理解が促せていない

経営層がDXに積極的であったとしても、現場の従業員の動きが鈍ければ改革は難航します。従業員にDXの必要性が伝わっておらず、危機意識が不足していれば、当然、抵抗や反発も大きくなるでしょう。

レガシーシステムから脱却する方法が検討出来ていない

DXを進める上で、レガシーシステムからの脱却は不可欠です。しかし、ブラックボックス化したシステムは、脱却しようにもどこから手をつけてよいか分からないことも多いでしょう。

そのため、レガシーシステムの問題を後回しにて、業務効率化などを進めていては、いつまでも根本的なDXが進まないままとなってしまいます。

DX人材の不足

人材育成や評価制度の不足など、IT人材を取り巻く環境の整備不足もDX人材の不足を促しています。

前例のない取り組みのため評価制度の導入も難しいものの、適切な評価がなされなかったり、キャリアビジョンが不明確であったりすれば、貴重なDX人材が去る要因となりかねません。

DX推進における課題を解決するポイント

DX推進の課題を解決するためには、自社の状況を客観的に分析し、全社一丸となって取組を進める必要があります。そのためには、社内体制の見直しや必要ツールの導入、育成・評価制度の変革も必要です。

企業の現状把握とビジネスモデルの見直し

まずは自社のDXの現状を客観的に分析し、どのようにビジネスモデルを変化させれば顧客視点での価値を創造できるか確認しましょう。合わせて、他業界や同業他社と比較し、ベンチマークを取得するのも有効です。

経済産業省では企業がDXの状況を自己分析し、その結果を元にベンチマークを取得できる「DX推進指標」を公表しているため、活用してもよいでしょう。

社内全体へ向けてDXの必要性を認知させる

DXは一部の部門や担当者個人が進めるものではありません。どのうように進めるか議論する際は、経営層と関係部門が集まって現状と方向性の確認をしましょう。

結果がまとまったら、DXビジョンなどにまとめ、企業全体に周知します。その際も一方的な周知ではなく、現場から要望や不満を聴取し改善できる仕組みも導入しましょう。

DX化に向けた社内の体制の見直し

レガシーシステムを利用している際は、廃棄するものと刷新するものに分けるなど、IT資産の現状分析も必要です。また、同システムの管理・保守にあたっていた人材や資金はどのように活用するかの検討もしましょう。

経営戦略やDX化の目的に合ったツールの導入

デジタルツールを導入する際は、DXビジョンの実現ができるか確認します。システム構築では、オンプレミスかクラウドか、予算はどうするかなど、多方面からの確認が必要です。

なお、システムをベンダー企業に丸投げする方法は、DXの推進上好ましくありません。自社内にもツールに精通した人材を配置しましょう。

DX人材の採用・育成の強化

DXを進めるには、DX部門の設置やDX人材の確保も必要です。採用の強化だけでなく、採用後の人材の育成方法まで検討します。

また、既存システムの保守業務を行なっている人材や事業部門の人材が豊富であれば、DX人材に変更する仕組みの構築も有効です。なお、DX推進に対しての評価制度を整えることも必要です。

【まとめ】

DXの推進では自社の課題の見極めが大切!

日本企業では、経営層のコミットメント不足、レガシーシステムの存在、DX人材の不足など、複数の課題が山積した結果、DXが進まないケースが多くあります。

しかし、2025年の崖でも示されたとおり、DXを推進しないと企業の存続自体を揺るがすこととなるため、1つ1つ課題を解決していかなければいけません。

株式会社デジタルシフトでは、人材育成・戦略立案・実行運用のサービスを柱に企業のDX推進をサポートしています。問題が山積している場合、デジタルシフトコンサルティングにより各部門の課題を抽出した上でDX診断を実行し、解決につながるサポートをいたします。

企業のDX推進に悩んでいるご担当者様は、ぜひ一度、DIGITAL SHIFT(デジタルシフト)までお気軽にご相談ください。