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DXリテラシーとは?意味や高める方法・ポイントを解説

昨今、デジタルを取り入れ、DXを推し進めることが重要視されています。

経済産業省が2018年9月に公開した「DXレポート」によると、DXをうまく取り入れられない場合、2025年には最大で年間12兆円もの損失が発生すると予想されています(※)。
この課題を「2025年の崖」と称し、その後2022年7月に発表された後続資料「DXレポート2.2」にて、デジタル産業への変革に向けた具体的な方向性やアクションが提示されています(※)。進め方や解決すべき課題がわかりやすくなったことから、今後、世の中のDX化への取り組みはますます加速していくでしょう。

DX化の上で重要になるのが、DXリテラシーです。DXリテラシーを持ってDXを進めていかなければ、単にデジタル技術を取り入れることが目的化してしまい、ビジネスの付加価値向上につなげられない可能性があります。

本記事では、DXリテラシーの概要や高める方法について解説します。
後半ではDXリテラシーを高める際のポイントや、必要となる人材についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

(※)出典:経済産業省「D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf(2022-12-24)

(※)出典:経済産業省「D X レポート 2.2(概要)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/covid-19_dgc/pdf/002_05_00.pdf(2022-12-24)

DXリテラシーとは

DXリテラシーを理解するには「DX」と「リテラシー」それぞれの単語を分解して考える必要があります。DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略語で、日本語で「デジタルを取り入れ、ビジネスや社会に変革を起こすこと」という意味です。また、リテラシーは「読み書きができる」の意味を表す英単語ですが、ビジネスにおいては「与えられた情報から必要なものを取り出し、適切に判断できる能力」とされています。

DXリテラシーについては、経済産業省のDXリテラシー標準(※)でも詳しく述べられているので、ぜひ参考にしてみてください。

ここでは、DXリテラシー標準を定める狙いを「働き手一人ひとりが『DXリテラシー』を身につけることで、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになる」こととしています。つまりDXリテラシーとは「DXに関する知識を持った上でDXの方向性を定め、それをどのように業務に活かすかを考えられる能力」だと言い換えられます。

※出典:経済産業省「DXリテラシー標準」ver1.0 2022年3月
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/DX_Literacy_standard_ver1.pdf
(2022-12-6)

ITリテラシーとの意味の違い

DXリテラシーとよく似た言葉に、ITリテラシーという言葉がありますが、両者の意味は少し異なります。ITリテラシーとは、ITに関する知識やスキルを適切に活用できる能力です。例えば、インターネットを駆使して知りたい情報にアクセスできる、オンライン上でもモラルのある行動が取れる、情報の価値を理解した上で適切なセキュリティ対策を行えるなどが該当します。また、パソコンやスマートフォンなどのITデバイスを操作できる能力も、ITリテラシーの一部です。

先ほど紹介したように、DXリテラシーにはデジタルに関する知識は当然必要であり、その上でビジネスや社会に変革を起こすことが求められます。つまり、DXリテラシーはITリテラシーを含んだ、より大きな視点の概念といえます。

DXリテラシーが重要視される理由

DXの成功は、社員一人ひとりのDXリテラシーに大きく左右されるといっても過言ではありません。

DXはあくまでも手段に過ぎないのですが、DXリテラシーが低いとDXの目的を認識できず、デジタル化自体が目的になりかねません。そうなると「自社の課題はなにか」「解決のために必要なITツールはなにか」といった分析が行えず、せっかく費用をかけてシステムなどを導入しても、思ったような成果は得られない可能性があります。

DXによるビジネスの付加価値向上効果を十分に実感するには、組織全体で変化に向き合わなければなりません。そのため、システムや業務を一新する際は、一大プロジェクトの一環として、社員のDXリテラシーを高める必要があります。

社内のDXリテラシーを高めることによるメリット

続いて、社内のDXリテラシーを高めることによる3つのメリットを解説します。

業務効率化
コスト削減
新たなビジネスチャンス創出の可能性が高まる

それぞれについて見ていきましょう。

業務効率化

DXリテラシーを高めることによる1つ目のメリットは、業務効率化につながる点です。

日本には、いまだにレガシーシステムを導入しており、保守運用の面から考えると見直すべき項目が残ったままの非効率な状態である企業も多いです。そのような企業が単にデジタル化を推進するのではなく、同時に社員のDXリテラシーを高められれば、以下のような業務の効率化が見込めます。

新システムの導入で業務スピードが上がる
データの一元管理ができる
高度で素早い分析が行える

DXリテラシーを高めることで、上記以外にもさまざまな視点から業務を見直せるようになり、具体的な施策を打つこともできるでしょう。

コスト削減

DXリテラシーを高めることは、コスト削減にも大きく貢献します。

老朽化したシステムを使っている企業は、その保守運用に多大なコストがかかります。それらをDXの導入で一新すれば、当然長期的な意味でのコスト削減につながるはずです。

これに加えて社員が高いDXリテラシーを持っていると、日常の業務を効率化するシステムを導入した際に、より効率の良い方法を模索することができます。紙やハンコが不要になることで費用を抑えられるだけでなく、空いた時間を活用して新たな企画や業務改善に力を入れられるようになり、結果的に多方面のコストを削減することにつながるでしょう。

新たなビジネスチャンス創出の可能性が高まる

新たな企画や業務改善は、ビジネスチャンスの創出にもつながります。組織のDXリテラシーを高めることで、社員がデータや技術を活用して分析や業務改善をする意識を持てるようになるでしょう。

DXによってデジタル化した製品やサービスを提供するだけでなく、デジタルを活用しやすい組織にしていくことが重要です。

社内のDXリテラシーを高める方法

次に、実際にどのようにしてDXリテラシーを高めていけばいいのかについて見ていきましょう。

社内のDXリテラシーを高める方法は、以下の4つです。

DX検定の受験
社内のナレッジシェアリング
社内研修
社外研修

それぞれについて詳しく解説します。

DX検定の受験

DXリテラシーを高めるにあたって、まず取り組みやすい早い方法が、DX検定の受験です。

DX検定とは、日本イノベーション融合学会が主催している、ビジネストレンドと先端ITトレンドの知識を問う検定試験です。これまでに300社近くの企業がDX検定を受けています。自宅もしくは会社のパソコンで受験することが可能で、60分で120問の多肢選択式の問題が出題されます。

DX検定では、スコアに応じて以下のような認定レベルが付与される仕様です。

800点以上:DXプロフェッショナルレベル
700点以上:DXエキスパートレベル
600点以上:DXスタンダードレベル

試験勉強する過程で、DXに関する知識が一通り身につくようになっているので、DXリテラシーを高めることもできるでしょう。

出典:DX検定™(日本イノベーション融合学会*ITBT(R)検定)「DX検定™(ITBT(R)検定)とは?」
https://www.nextet.net/kentei/test/aboutitbt.html(2022-12-2)

社内のナレッジシェアリング

社内で行うナレッジシェアリングも、DXリテラシーを高める方法の一つです。

ナレッジシェアリングとは、ビジネスにおいて必要となる知識を、チャットなどで共有することです。DXに詳しい人の話を個人間だけでなく組織内で広く共有できると、社員全体のDXリテラシーを高められます。

導入した実際の事例を紹介し合うのもおすすめです。「こういったツールを導入すると効果があった」「うまくいかなかった原因はこうかもしれない」といったリアルな感想が共有されると、組織内で真似をしたり参考にしたりする動きが生まれ、相乗効果が高まるでしょう。

社内研修

社内研修も、社員のDXリテラシーを高められる効果的な方法です。

まずは参加者に、基本となる情報を座学中心でインプットしてもらいます。その後、理解度を確認するためにグループワークやテストを行い、今度はアウトプットしてもらうとより大きな効果が見込めます。

社外研修

社外研修も、DXリテラシーを高めるのに有効な方法です。

DXは今やさまざまな業界で注目されているので、外部のプロに依頼できる研修や講座も充実しています。DXの基礎やビジネスにどう活かすか、目的達成のためのゴール設定などを学べるので、参加者一人ひとりのDXリテラシーを大きく向上させられるでしょう。

社内でDXリテラシーを高めるために必須となる人材

ここで、社内でDXリテラシーを高めるために必須となる人材について、ご紹介します。

マネージャー・管理職
新入社員
ITシステムを扱う事業部に所属する社員

それぞれの立場でどのようなことが求められるのか、詳しく見ていきましょう。

マネージャー・管理職

社内のDXリテラシーを高めるには、マネージャー・管理職の存在が欠かせません。
彼らは社内や部署全体を見通せるポジションにいるため、他の一般社員と比べると、現状の課題にも気付きやすいはずです。

現状の課題や導入するツールの候補を共有すると、具体的な解決方法の選択やツールの選択をする上で、現場の状況に合った判断ができるでしょう。

新入社員

社内のDXリテラシーを高めるには、新入社員の存在も重要です。

入社直後の新入社員は、戦力として配属先の組織に参加する前の段階なので、まとまった新人研修の時間を取りやすいです。デジタルネイティブとも呼ばれる世代にあたるため、集中してDXの教育を行えば吸収もその分早いでしょう。ビジネスを長期的な目線で考えた際にも、早い段階でDX教育を行っておくことは合理的です。

新入社員へのDXリテラシー教育がうまくいけば、すでにある程度のDXリテラシーを身に着けた人物が組織に新しい風を吹かせることになり、会社のDX戦略への大きな戦力になることは間違いありません。

ITシステム関連を扱う事業部に所属する社員

DXはITツールを導入するケースが多いので、ITシステム関連を扱う事業部に所属する社員の存在も不可欠です。

DXを推進するためには、専門的なIT知識が必要になることもあります。普段からITシステムに関連する業務を行う社員は、ある程度のIT知識を持っているはずです。また現状の業務のどのような部分が効率化できるのか、どこをコスト削減するべきなのかといった視点を持っているでしょう。

このような知識を社内に共有することで、社内全体のDXリテラシー向上につながります。

社内のDXリテラシーを高めるためのポイント

最後に、社内のDXリテラシーを高めるための3つのポイントを解説します。

DX人材の用意
なぜDXが必要なのかを明確にして社内に展開する
DX推進のための体制づくりを行う

いずれも重要なものなので、詳しく見ていきましょう。

DX人材の用意

DX人材とは、事業や組織のことをしっかりと理解し、それに対してDXを活用してどのような改革をするべきなのかを分析、提案、協議できる人物を指します。つまりリーダーとなって時には経営層に掛け合いながら、組織のDX推進を助ける人物です。

現状、DX人材は世の中全体で不足しており、DX人材を十分に抱えているという企業は多くないでしょう。外部から採用することができればよいですが、それも難しいのが現状です。そのため、社員のDXリテラシーを高めて、マネージャーやITシステム関連を扱う事業部に所属する社員の中からDX人材を育成することが重要視されています。

なぜDXが必要なのかを明確にして社内に展開する

社内にDXを取り入れる目的を共有することも、DXリテラシーを高めるポイントの一つです。繰り返しになりますが、DX自体に期待できる効果は「デジタルを活用し、ビジネスに変革を起こす」こと。つまり企業の目的達成の手段に過ぎません。これを全社で意識していなければ、十分な結果は出ないでしょう。そのため、なぜ今DXが必要なのかを明確にした上でデジタル化に取り組むことが重要です。

DX推進のための体制づくりを行う

社内のDXリテラシーを高めるには、DX推進のための体制づくりも欠かせません。DXをはじめとしたデジタル領域は日々驚異的な速さで進化しているので、社員が新しい技術やトレンドをキャッチアップするためにも、スピード感を持って取り組める環境の構築が重要です。

具体的には、上層部に委ねられていた権限をより現場に近い部署に一部付与したり、管理や報告の工数を削減したりすることなどがあげられます。

また、万が一失敗してしまった場合でも、結果を受け入れて新たなチャレンジを推奨するような環境を用意することも必要です。新しいことに挑戦しやすい環境にし、トライ&エラーの回数を増やすことで、DXの目的達成に近づきます。

まとめ

企業がDXをうまく取り入れビジネスに活かすには、組織のDXリテラシーを高めることが必須です。DXリテラシーを高められると、業務を効率化できたり、コスト削減できたりするだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出するチャンスも生まれます。

DXリテラシーの高い人材を確保するには、社員の採用と教育が重要です。教育をする場合、DX検定の受験や社内・社外研修といった手段があるので、自社に適切な方法を選択し、実践してみましょう。