お問い合わせ
資料ダウンロード

閉じる

ブログ

デジタルシフト社のブログです。DXにまつわるTipsを発信しています。

トップブログ建材DXとは?建材業界の課題やDXの取り組み事例などを紹介

建材DXとは?建材業界の課題やDXの取り組み事例などを紹介

新型コロナウイルスの蔓延により、多くの現場において混乱が生じたことは記憶に新しいでしょう。建材業界も例外ではなく、労働者の確保がロックダウンによってままならない状況が続き、ウッドショックと称される事象も発生しました。また建材業界は他の業界と比べてDXが遅れている傾向にあるため、ITや最新技術を活用して課題を解決していくことが困難な状況です。

そこで本記事では建材業界におけるDXとは何かを確認した上で、建材業界の現状と課題や、建材業界でDXを導入するメリット、建材業界で取り組むべきDX化に向けた施策、建材DX推進に向けた国の取り組み、建材DXの成功事例などについて解説していきます。

建材業界でのDXとは

DXとはデジタル技術を活用することで、ビジネスそのものの変革や業務の効率化などを目指すことです。近年、少子高齢化による労働人口の減少や同業他社間での競争の激化などによって、企業を取り巻く状況は厳しくなっています。そうした中で、デジタル技術を活用し課題を解決していこうという動きが高まっているのです。

建材業界は従業員の高齢化が問題となっている業界の一つで、DXによる業務の効率化などが模索されている最中です。例えばAIが構造物の図面や設計図の分析を行い、建材を自動でピックアップする仕組みも開発されています。これまでは熟練の作業員が図面の解析を行っていましたが、AIを活用することで業務効率化が実現できる他、人為的なミスも回避しやすくなることがと期待できるのです。

また建材業界と深い関係性のある建設業界でもDX化が進んでおり、大手ゼネコンでは通信事業者と連携して現場作業を担うロボットや自動制御システムを開発しています。建設業界がDX化することで、建材業界でも一層DX化が求められるようになるでしょう。

建材業界の現状と課題

建材業界の現状と課題として以下の3つが挙げられます。

あらゆる業界のオンライン化についていけていない
納期や回答に時間がかかってしまう
高齢化による人材不足

それぞれについて詳しく解説していきます。

あらゆる業界のオンライン化についていけていない

建材業界はITやデジタルといったテクノロジーとは無縁の業種であったため、あらゆる業界のオンライン化にも遅れている状況です。日々の業務がデジタル化に移行できていないため、紙ベースの契約書などをベースにした取引を行っている企業も少なくありません。
 
取引相手も紙ベースでのやり取りを基本としていれば業務における問題は少ないですが、現状としてはそうではないようです。大手建設会社の中にはテレワークの普及や環境保全などの観点からペーパーレス化に踏み切る企業も増えています。FAXや郵送での書類をベースにしていると、取引の継続が困難になるとも懸念されます。

納期や回答に時間がかかってしまう

前述のように建材業界はアナログな仕事ぶりが根強く残っている業界です。紙面での確認となると、複数人に書面をまわして確認してもらわなければならないことも珍しくないため、回答を提示できるまでに時間がかかることもあります。

また報告書の制作を現場から戻った後に事務所で行わなければならなかったり、一つの変更によって紙面が全て修正となったりすることもあるため、納期までに日数が必要になるケースも少なくありません。

高齢化による人材不足

建材業界は高齢化による人材不足に悩まされています。単に働き手が不足しているだけではなく、この業界を将来的に担っていく人材の不足も問題となっています。少子高齢化に関わるさまざまな施策が実施されているものの、現状としては解決の兆しは見えていません。こうした状況が続くと将来的に建材業界全体が衰退していくリスクも懸念されるでしょう。

業界が存続していくためには人間の力だけではなく、テクノロジーを活用することも考えていく必要があります。最新のテクノロジーを活用することで少ない従業員数でも生産高を維持できるだけでなく、長年培ってきた知見をデータ化することでノウハウや技術の継承も行えると期待できます。

建材業界でDXを導入するメリット

建材業界でDXを導入するメリットとして以下の4つが挙げられます。

業務効率化
人手不足対策になる
技術・ノウハウの継承がスムーズになる
サプライチェーンの合理化

それぞれについて詳しく解説していきます。

業務効率化

DXを導入することで業務を自動化したり、人的ミスを減らしたりできるため、業務効率化につなげることができるはずです。業務を効率的に行えるようになれば、少ない人数でも従来と同等の生産高を維持できるでしょう。

建材業界ならではのアナログな仕組みによって停滞していた生産高もDX化によって高まると期待できます。

人手不足対策になる

前述のように建材業界は人手不足に悩まされています。少子高齢化で若い人材を新たに雇い入れることは容易でない昨今、DXは問題を解決する上で役立つはずです。

人手が不足すると既存の従業員の負担が増大しがちですが、DX化によって業務を効率化することで長時間労働が是正されたり、ドローンにより現場作業の負担が軽減されたりします。またこれまでに人間が行っていた煩雑な作業の自動化も業務の効率化を目指す上で重要なことです。

技術・ノウハウの継承がスムーズになる

建材業界で求められているノウハウや技術は短期間で培えるものではなく、長年の業務によって少しずつ培われていくものです。そしてノウハウや技術はベテランから若手へと継承されていくものでもあります。

しかし現場の人手が不足していると、若手に技術やノウハウを伝授する時間が取れなかったり、若手をじっくりと時間をかけて教育できないこともあります。また若手の参入がなければ、ベテランは技術の継承を行いたくても難しいでしょう。

このような問題の解決に役立つのがAIです。熟練技術を有する職人の動きをAIが映像解析し、標準化することで動きを再現できるようになります。

サプライチェーンの合理化

建材業界は建設業界など複数の企業とつながりがあり、サプライチェーンを構築しています。しかし現在の建材業界は納期回答に時間を要しがちであり、資材の納期が工期全体の遅れにつながるケースも少なくありません。

建材業界でもDX化が進み、必要な部材の情報を他の企業とシームレスに共有できるようになれば、サプライチェーン全体が最適化され、納期回答にかかっていた時間を短縮できると期待できるはずです。

建材業界で取り組むべきDX化に向けた施策

建材業界で取り組むべきDX化に向けた施策として以下の5つが挙げられます。

LINEを使った受発注システムの構築
クラウドサービスの導入
AI(人工知能)の導入
ICT(情報通信技術)の導入
IoT技術の導入

それぞれについて詳しく解説していきます。

LINEを使った受発注システムの構築

受発注にLINEを活用することで、受発注業務を少ない負担で行えるようになるはずです。

近年多くの人たちがコミュニケーションツールとして利用しているLINEであれば、アプリを新しくダウンロードしたり、使い方を覚え直したりする必要がありません。また外出先や移動中からでもLINEで簡単に発注できます。

その他にも多忙な時期でもLINEを活用すれば片手で発注できるため、他の業務の合間などに発注することも可能です。

クラウドサービスの導入

クラウドサービスとはインターネット上の仮想サーバーなどのリソースを活用したサービスです。インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、オフィスや事務所以外からもデータにアクセスできます。

本社と現場が距離を意識せずに工事の状況をリアルタイムで共有したり、本社から現場に直接指示を出したりすることも可能です。また自宅からもアクセスできるため、社内におけるテレワークの浸透にも役立ちます。

その他にもクラウドはデータの破損や紛失回避の観点からも安心です。データをクラウド上で保存していれば、パソコンやデータファイルなどが破損したからといってデータにアクセスできなくなるような事態は基本的にありません。

AI(人工知能)の導入

AIとはArtificial Intelligenceの略語で、日本語では人工知能と称されています。AIは膨大なデータを速やかに処理する能力に長けており、学習した内容を踏まえて人間のように判断できます。

建材業界でもAIは将来的に多くの場面で活用できると期待できるでしょう。例えば必要な材木をAIが判断してピックアップしたり、計算や解析といった作業をAIが代替したりできれば、人間の作業負担は大きく軽減されます。

ICT(情報通信技術)の導入

ICTはInformation and Communication Technologyの略語で、日本語では情報通信技術と称されています。ICTとは情報処理に限らず、インターネットのような通信技術を活用したサービスや産業などの総称です。

建材業界においてICTは機器を遠隔地から操作を行う技術にも利用できます。特に、人間にとって危険な場所での作業においてICT技術の導入が必要とされています。その他にもドローンで撮影した画像を用いて3次元測量データ化が可能な技術も開発されました。

IoT技術の導入

IoTとはInternet of Thingsの略語で、モノのインターネットと称されています。モノにインターネットを搭載することで、周囲の環境に関する情報の収集や分析、結合が可能になりました。IoTは家電や電気自動車、産業ロボット、建設機械などさまざまな製品に利用されています。

建材業界では離れた場所からの機器の作動などで活用されています。その他にも危険エリアの監視にIoTを用いて、労働災害防止に役立てています。またIoTで集積した現場の作業データをAIで分析することにより、作業や技術を標準化できるため、技術の継承にも活用できるはずです。

建材DX推進に向けた国の取り組み

i-Construction(※)とは国土交通省の取り組みで、ICTの活用によって建設生産システム全体の生産性の向上を目指すものです。国土交通省が公表した「i-Constructionの推進」(※)では代表的な施策として以下の3つを掲げています。

ICTの全面的な活用
全体最適の導入
施工時期の平準化

国土交通省はICTの全面的な活用などの施策を現場に導入することで、建設生産システム全体の生産性向上に加えて、魅力ある建設現場を目指していく予定です。

※出典:i-Construction.「i-Construction」.https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/,(参照 2022-12-20)
※出典:国土交通省.「i-Constructionの推進」https://www.mlit.go.jp/common/001149595.pdf,(参照 2022-12-20)

建材DXの成功事例

建材DXの成功事例として、建材会社様の事例を一つご紹介します。

アナログ業界特有であるアナログ受発注業務をデジタル化することによって自社、および取引先の利便性向上に成功しました。

具体的には、お取引先工事店のペインを解決しつつ、顧客利便性と付加価値向上を実現するためのLINEプラットフォームの開発を提案。LINE受発注プラットフォームを開発することで受発注業務の利便性向上や利用促進を図り、デジタルプラットフォームとしての存在価値を向上させながら持続的成長型のエコシステムを構想しました。

まとめ

近年、多くの業界において人手不足や後継者の不足、DXの遅れなどが問題となっています。そして本記事で見てきたように建材業界も例外ではありません。建材業界は建築やリフォームとも密接につながる業界であり、私たちの暮らしに不可欠な業界です。その一方で、若年層の不足やアナログ思考などといった業界特有の課題を抱えていることも見落とせません。

国を掲げての少子高齢化対策や各業界による求職中の若者へのアプローチなど、労働人口を増やすための取り組みは不可欠です。とはいえ労働人口が年々減少している現代社会では、働き手を確保することも容易ではありません。こうした中で業界を維持していくためには、人間の力だけでなく、テクノロジーやデジタルの力を借りることも検討していく必要があります。

建材業界にDXを導入することで人手不足や継承者の不足といった問題を解消できる他、業務の効率化や均一化、ミスの防止などといった効果も期待できます。業界が将来的にも成長し続けるためには、時代に合わせたビジネスを展開していくことも必要です。建材業界でのDX推進について悩みや課題を抱えている企業にはDIGITAL SHIFT(デジタルシフト)が提供するサービスの活用がおすすめです。同社はDX人材の育成やDX戦略の提示など社内のDX化に関するさまざまなサービスを提供しています。